淘汰の国のアリス | ナノ

「もっと早くに気づいてたんじゃないのか!」
「じゃあ一体どうするんだよ!」
「妹のお土産にしようと思ってたのに!」
と口々に言い収集がつかなくなる。中年の男性はマーシュからマイクを奪い取り、フードの男性を力付くで離した。

「まあ落ち着け!!」

再び周りはしーんとなる。
「…おっさん…」
「こうなったら、「本人で」責任を取ってもらおうということでいいんじゃないか?」

「………!?」
「………?」

「んでだな、ここはよそ者であるアリスからの意見も聞こうではないか。」

フードの男性も「…そうしようか」と引き下がった。この流れでいきなり名指しされてアリスは戸惑う。全員から意見を求められているのでこちらは助けを求めようもない。自分がもしこういった場合はどう答えるかを冷静に考えた。

「私はそうね…例えばクラスのアンケートを持ってきたと思ったら忘れたとして…その日が期限でみんなに迷惑かけちゃった…。そしたらやはり取りに帰るか…でも自分が悪いから誰も助けてくれない……。」

一つの結論に至る。


「結局は自分でなんとかするしかないわ」



そう。


自分が、じゃない。


「自分で」


アリスはそれ以上の深いことは何も考えてない。自分が正しいと思う正論を言っただけだ。だから今にも逃げてしまいそうなマーシュが大袈裟にも見えてきた。だがアリスは別に自分は何も欲していない。楽しかったというより、もとよりこのようなルールもへったくれもないレースになにも期待なんかしていないかった。

中年の男性が尋ねる。
「おや…お嬢ちゃんはいらないのかね…「ご褒美」」
「…私は別にいらないわ。」


その時だった。向こうの茂みと茂みの間を何かが通りすぎた。

「もしかしたらウサギさんかも!!」

アリスの興味はそちらに向けられ、賑やかな群れにくるりと背を向ける。
「うわっ、何を…嫌、嫌だごめんなさい!助け…」
振り向くと底には人だかりが出来ており、声はそうだがマーシュの姿は見えない。多分あの中でお説教でも受けてるんだとアリスは先程走ったばかりだというのに急いで茂みの方へ走っていってしまった。







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -