淘汰の国のアリス | ナノ

同情するも何も、今の彼女は自分のためにそうまでしたと思えば益々無力感の苛まれてしまいそうになるピーターに構わずアリスは続けた。
「ここからならすぐに真実の森へ抜けられるわ。あそこに入れるのはジャックさんだけ…こっちには猫さんがいるから大丈夫…」
「ちょっと待って。」
自信と真剣さに満ちた顔で言い聞かせてくるのを遮った。



「なんで僕なんか助けるの?」
アリスは真ん丸い碧眼を瞬きさせ、拍子抜けした顔を浮かべる。更に続ける。
「僕のことは君には関係ないじゃないか」
辛辣にも聞こえるそれはただの疑問だった。アリスには何の罪もないのだから。アリスは表情を戻す。

「関係ないのも私には関係ないわ!」
今度はピーターが先程のアリスと同じような表情で彼女を見る。
「だってあんなの…酷すぎるわ!あんな事で死刑になるなんて…理不尽すぎる!」
と、訴えかけるアリスの手にはより力がこもった。
「でも僕は実際それだけの事をしたのには変わらないよ」
「変えてみせましょう!」

後からになってみたら正直何を言っているのかアリス自身でさえわからなかった。が、彼女は説得をし続ける。死しかない未来を変えて見せるために。
「あなたも生きたいでしょう?このままは嫌でしょう!?ねぇ、本当はどうなの!?」
つい感情的に声を荒げる。
「………………」
ピーターは次に紡ぐ言葉を考えていた。答えはほぼ、決まってはいたが。…しかし、もうたった一言で済むのならそれで構わない。きっと、彼女に伝わるはず。

「アリス……僕は生きたい。物語の終わりをこの目で見るまでは死にたくない!」
「なら行きましょう!」
アリスは彼の細い手首を引っ張り、自信に溢れた笑顔で立ち上がる。一緒に立ったピーターの首輪から繋がる鎖は長く重く、地面に垂れ下がっている。





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