「…悪いのは私よ!この人を責めないでちょうだい!」
とコースにいる全員に向かって男性をかばいながら気の張った声で叫んだ。だが周りは別にアリスや男性を責めるつもりはなくむしろ拍手までする人までいた。
「いやいや俺も足が限界でさぁ」
「アリスちゃんすごいぞぉ!」
「タイプだ結婚してくれうおおおおおお!!!」
さりげなくプロポーズされた気がするがそこもさりげなくスルーして、皆も最後まで楽しんでくれたようなので男性も一安心した。
「ありがたやありがたや…」
「いいのよ別に。」
アリスは優しく微笑む。
「あーでもお前ら、忘れてねえよなあ、アレ。」
一人が皆に話すように言えば思い出したように「そうだった」と言い出す。
「アレって?」
「………………………。」
岩を降りて隣に立っているマーシュの笑顔がどこかぎこちない。
「アリスが止めたんだからアリスに貰えばいいんじゃねーか?」
「アホか、ルールはルールだろ。ほらマーシュ、約束のアレをはやく皆にやらんか。お嬢ちゃんにもな。」
梟の男性と中年の男性が話している。今度ポケットの中に手を突っ込み何かを探した。その間皆からの視線を浴びながら辺りは静まりかえり、我慢できないアリスはそこらへんにいた人に聞いた。
「あのう…皆が言ってるアレって…何ですか?」
「司会をつとめた者は走ったみんなにご褒美をやらなければならんのだ。」
そう聞くとアリスも皆と同じ方向を、心配そうに見つめた。なんだか用意しているようには見えないからだ。
しばらくしてマーシュは咳ばらいをしながら苦笑いを浮かべた。
「あれぇ〜?お、おかしいなー…。確かポケットの中に入れてたんだけどなあ〜…」
するとアリス以外全員ががやがやと騒ぎ、遠巻きから見ていたフードの男性が周りを掻き退けマーシュの胸倉を掴んだ。
「おいてめぇ!どういうコトだよ!まさか途中で落としたってーんじゃねーだろうな!コレを楽しみにしてた奴もいるんだぞ!!!」
それが合図みたいに次々と怒号が沸く。
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