淘汰の国のアリス | ナノ

ピーターがいきなり、机を両手で叩いた。ローズマリーもにわかに驚きを露にしている。机の上に握り拳を、その上にピーターは顔を埋める。

「…何が出来る奴だ…信頼?ふざけるな。ただ猫をかぶっていただけじゃん…!この数日で僕は…僕は……!初めてあんな醜い心を視た!」
と言って見上げた顔はもう悲観に崩れていた。目には溢れんばかりの涙を、叩いた衝撃でタオルは微かにずれていてそこからかいまみえる「傷」はとても痛々しく…
「我慢の限界だった。僕はもう…耐えることは出来なかった…。縄がちぎれた時は一心不乱で…死ぬ死なないとかどうでもよくて…ただ…!!」
「もうよい」
ローズマリーが彼の話を遮る。
「もうよい。所詮はその程度だったのじゃ。」
ピーターも彼女の口にした言葉の意味がわからなかった。
「女王陛下…?」
彼女の瞳に込めた奥の感情をなんとなく察したピーターが救い用のないといわんばかりに、今にも体まで崩れそうになる。
「…ピーター、せめて言うか耐えるかをしてほしかったのじゃが、貴様が破るとは思わなかった。「女王、または王意外はいかなる場合も無断では処刑してならない」」
「…!!」
ピーターの顔からは血の気が引いた。ローズマリーはまるで軽蔑をするかの如く冷たい目だ。
「正当防衛?知らぬわ。これだけは先代から守り継がれた掟。禁忌を犯した者はなんにあれ、罰せねばならぬ。」

アリスは神にもすがりたい気持ちだった。だがしかし、絶対的な掟の下に人の力はあまりにもモロク、既に周りからは同情の声がしてきて、ピーターは一割の望みを願いながら女王陛下を見つめ

ローズマリーは判決の木槌を叩く

誰もが息を呑んだ。そしてピーターに下されたのは

「ピーター被告人には死刑をし処する!」

しばし沈黙が続き、ピーターはその場で膝から崩れ落ちた。間もなくしてすぐ少女の泣き叫ぶ声が虚しく響いたが、誰の声かは言うまでもあるまい。




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