淘汰の国のアリス | ナノ

アリスが慌ただしく開閉した扉を眺めていると二回木槌を叩く音が響き、びっくりして中央を向き直った。まるで先程のちょっとしたどたばたを粛正しなかったことにするように。テーブルが1つ、空席になった。

「セージさん大丈夫かしら…あの様子じゃあ」
「以上をもって関係者からの証言は終わる。現在ではこの中に事件に関与した者はなし。ピーターが単独で行ったとされる!」
兵士がアリスの呟きを遮り全体に聞こえるぐらいの声を張り上げた。名前を出されたピーターは終始下を向いたまんまだ。

「あの人達に聞いたのはそのためだったのね」
あの中にもしかしたら共犯者がいるかもしれない。あらかじめ芽を摘んでおいたのだろう。しかしアリスは納得がいかなかった。
「でも最初から本人に聞けばいいじゃない」
と不平をこぼすとフランネルは小声で
「もしだんまりを決めていたら真実も何も聞き出せないから…」
と返したら妙に理解できた。

「なんでピーターが犯人に仕立てられてるのよ」

3段目の雛壇から突然声がする。服のハートの模様が4つだからの四番だ。周りの空気が凍りついた。ローズマリーは平然と応じる。
「今から吐いてもらう。承知するがよい。」
四番は真顔で睨み付ける。
「ねえ、結局どうなの?私暇じゃないんだけど。」
さすがのローズマリーも癇癪を起こしたようだ。武装した兵士に命令した。
「…真実は逃げはせぬ…それをも待てぬとは…追い出せ!首をはねよ!今すぐにじゃ!!」
「はっ」
今まで役目のなかった兵士達が俊敏に動く。すぐさま四番の肩を二人がかりで掴んだ。
「…なんだ!?ちょ、離せ!いきなり何するんだよ!!待て…なんなんだよぉ!!」
身柄を拘束されてからようやく我に返ったようだが現状を理解できぬまま哀れな四番は裁判所から引きずり出され、生憎にも強制退場となった。



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