淘汰の国のアリス | ナノ

「次はアルカネット、証言せよ!」
「はっ…女王陛下。小生から1つお願いがあります」
アルカネットは椅子に手を添えたままローズマリーに力強い視線をぶつけた。だが相手は今や公平を仕切る裁判長。感情的になることはない。
「言うてみよ。」
「…セージの証言件を小生にください。ほぼ同じ行動をともにしています。ですから…」
「全く同じ…ではなかろう?」
ぴしゃりと返されアルカネットは悔しそうに睨む。更にローズマリーは続けた。
「ここは本人が直接言わねば意味がないのじゃ。公平に、平等に、誰にも等しく一人ずつ訊ねなくてはならぬ。今一度理解せよ、新人。」
ローズマリーにも表情はない。アルカネットは俯くセージを一瞥して、自らの目でみた事実を述べた。

「小生は、セージがピーター様の後を追いかけ始めたので心配でついていくことにしたんです。たどり着いたのが地下牢の前で、しばらくしたら兵士達の悲鳴が聞こえました。不審に思いセージが扉を破壊して入っていったら…もう出遅れでした。」
「扉を…破壊じゃと?」
ローズマリーが低い声で呟く。傍観席が騒然としだした。
「静かにせんと首をはねるぞッ!!!」
怒りをぶつけるように金切り声を上げる。瞬間的にぴったりとやんだ。

「…貴様らの処分は後々考える。座るがよい。…最後はセージ、証言するのじゃ」
処刑ではなく処分。とはいえ席についたアルカネットの表情は冴えない。名指しされたセージは弱々しく腰をあげた。

「…大丈夫?立てるか?」
「…うん。」
アルカネットが無意識にセージの手に自分の手を重ねる。二人の因果を知っているのは皆全員なので違和感はないものの、彼がそこまで心配性なのは誰も知らないだろう。

「おそらく、ボクが第一発見者だと思います。」
傍らにいる幼馴染みの心配をよそに真剣な表情には弱味がない。アリスには感情を堪えてるように見えた。





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