淘汰の国のアリス | ナノ

フランネルも気にはなっていたようだ。レイチェルの行動が早かった。
「医者から聞いたが大丈夫か?相当疲れてたらしいな。あれからしっかり寝れたのかよ。」
医者とはつまりアルカネットだろう。様々な人に気遣いや心配させて申し訳ない気持ちになった。レイチェルは身体的に深い怪我を負ったのだから自分を優先してもいいだろうに。とりあえず心身共に回復したので笑顔で返す。
「ええ、ぐっすり眠れたわ。おかげでもうピンピンよ!」
「そっか、よかった。」
二人は安堵の表情を浮かべる。レイチェルがそれを機に昨日の出来事を話し出す。

「にしても昨日の晩餐会は楽しかったぜ!飯は旨いし、何よりデザートのスペースでシフォンとエースが食い意地はってんのは傑作だったな。ジャックはなんか酔いつぶれてしばらく死んでたわ」
「…それは、うらやましいわ、ね」
ノリノリで話す相手に対し、アリスの笑顔はぎこちない。楽しそうというよりカオスな雰囲気しか想像がつかなかっからだ。エースも冗談が通じるようなキャラではないだろうし、ローズマリーが主宰ならいくらかは処刑されたのではないのだろうか。
「挙げ句には最後のワッフルケーキ狙ってバトルにまで発展しやがった。ピーターが止めなけりゃあヤバかったぜ、アレは…」
まるでかなり昔の思い出を語るかのようだった。ピーターはお疲れ様、そしてもはや晩餐会ではなく武闘会です。
「今はそんなこと話してる暇はないわ。」
フランネルが燕尾服の袖を引っ張る。珍しくはきはきした口調だ。レイチェルの耳は軽く垂れ下がるも納得した様子である。
「…そうだな。アリス、今から緊急裁判が行われるんだ。」
急に真剣な顔でそう告げる。続きを聞けないのが残念だが今気にしなければいけないのはそこだ。
「あなたにはわからないでしょうけど…この城にいる者はたとえ客でも参加しなければいけないの。」
確かにアリスには何がなんだかさっぱりだが、流れでは否応なしに参加する義務らしい。
「…わかったわ。でもどこにその…裁判所はあるの?」
フランネルが背中を向けて振り向いた。
「正しくは真実の間ね。…私達についてきて。」
レイチェルはアリスの背中を軽く押して後ろを歩く。忙しない廊下中を普通の歩く速さで一行は「真実の間」へと向かった。



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