淘汰の国のアリス | ナノ

「ち、近い!ていうかくっついて…」
「これだけだから!これだけだから!!」
端から見ているとまるでベッドや毛布が生き物のごとく動いている。二度押しして制止させようとするもアリスはじっとしない。
「今日はこのまま一緒に寝るんだから!」
「何もしないって…え?」
途端に動きを止める。やっと落ち着いてくれたのを安堵して、しかしまだ状況を理解しきれていない困惑したアリスの胸に顔を埋める。さすがに恥じらいの色で頬を染めるがこれもまたどうしていいかわからず体には力が入り固まって動かない。

「………罰として今日はこのままで寝ます」
「………意味がわからないわ…だって…」
罰という言葉から予想できる図ではない。今すぐではなくとも、もっと痛い目やひどい仕打ちを喰らうぐらたかはかくくっていた。多少恥ずかしい気持ちもあるが、お互いに何にもなってないのだ。
「お願いアリス、何も言わないで。僕はこれでいいんだ」
そのまま喋られたら、更に長く毛触りのいい耳が当たって(じっとしているならまだしも時折動くもんだから)くすぐったくて仕方がない。まさかお願いと言われるなんて。自分の立場が曖昧に感じながらただされるままにまっすぐ横に寝転んでいた。

「…やっぱり、落ち着く。」
「…こうしてるのが?」
本当にそれ以上の事はしないらしい。
「いや。…なんでか知らないけど、聞いてると安心するんだ。」
相変わらずもぞもぞと微妙に動くのちは馴れないがこそばゆい感覚も今はなく、腕はあいてるものの目の前にある長い耳もいつもはつい触りたい衝動に駆られるがなぜかそれすら沸いてこない。かわりに違う別の衝動に駆り立てるようにピーターの声はか細かった。

「心臓の…生きてるんだなって…思えるし」
「…兎さん…」
僅にアリスの腕が動く。が、そのままの位置で止まった。
「こんな事しなくたって、生きてるってわかるじゃない」
「でも、死んだら僕の大好きな音がきけなくなるよ」
心臓が止まる。二度と鳴らない。つまり、二度と聞けない。二度と蘇らない。ピーターの耳が真ん中で折れ曲がり、ちょっとばかし邪魔になったが気にする程度でもない、今更。
「そう、ね」
アリスも無駄口は出さないよう気を付けた。しかし、何か声をかけたほうが…と考えてるうちにピーターが話題を変えてしまった。




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