淘汰の国のアリス | ナノ

13番目は一歩アリスの方へ歩み寄る。

「ま、冗談はさておき。アンタ、本当にアリスになる気があるわけ?」
途端に冷たさを帯びた鋭い視線でこちらを睨む。瞳には光がない。たじろぐアリスのがぼやけて瞳に映っていた。
「…ええ、勿論よ!アリスになって元の世界に戻らないと!」
ここで怯んではいけない、自分の意志ははっきりさせなくてはと声色を強めて相手に告げた。これはなにかしら試されているのかもしれない、アリスは相手の放つただならぬ雰囲気からそう感じ取った。

「…ふーん。変な奴」
13番目もアリスの強い意志になにも言い返しはしなかった。むしろ変な物を見るような目でこっちを見てくる。普段なら変な奴呼ばわりされたら反論をを繰り出すのだが、今は逆に驚きしか表せない。
「ま、いいわ。別にアンタなんかに興味はないもん。…ただし、今までのアリスで一番素質があるらしいし。アンタがその気なら協力してあげようと思っただけ」
素っ気なさそうな態度を続ける13番目。素で関心はないのだろうな、と思えてきた。投げやりにも感じる。
「…協力?」
「そ、協力!」
また一歩近寄り不適な笑みが至近距離に迫った。

「私がかわりに女王を倒してあげる♪」
アリスの表情が凍りついた。
「な、なに言って!?」
「アンタが自分で倒すんならいいのよ?だけど、とても出来そうにないなら私がアンタになって倒してあげるってこと」
「でも…倒す以外の方法も多分」
「ここに来た時からアンタに選択肢はないのよ?」

その通りだ。ハートの城へ来たのはそもそも女王を倒すのを覚悟に決めた上だったのだから。
「他のアリス達の無念を晴らしてやりたいの、私みたいに無惨に消えていったアリスに。それに、これからもまた犠牲者が増えるかもしれないのよ?」
とどめを刺されアリスは言葉を失う。
「大丈夫よ、アリス…」
13番目は相手の背中にくるりと周り、後ろから手を回して優しく抱き締める。なんで、ひどく恐ろしい、寒気と鳥肌が同時に襲ってくるぐらいの得体のしれない恐怖感に囚われているのに金縛りにあったみたいに体が全く動いてくれない。13
番目は、今までにないぐらい吐息を含んだ声でアリスの耳元で囁いた。

「私もアリスなんだから…」



「いやあっ!」
ようやく身動きが取れるようになったのを機に力一杯彼女を振りほどいた。

「………?」
しかし、なぜかアリスの腕は人間の体の感触とは違う柔らかい何かに沈んでいた。



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