淘汰の国のアリス | ナノ


「………………?」

アリスはしばらく意識を失っていたような感覚から醒めた。気付けば、見渡す限り闇に包まれた空間に立っていたのだ。奥行きも何もかもがわからない、まるで次元の概念が取り払われた如く、画用紙を黒の絵の具で塗りつぶした中にアリスが立っていた。そのくせ、アリス自身の姿は明るい空間にいる時みたいに鮮明に確認できた。

「……ここは、どこ?」
なんとなく、ふらりと一歩二歩と前に歩みだす。何故だろう、恐怖心や不安感が全く感じられないのだ。淘汰の国を訪れる前に一度このようば場所を一人さ迷った記憶がある。それで慣れたわけではない。何度暗い場所を一人で歩くのはいい心地がしない。

無意識に、足が進む。

「…あんたが今回のアリスなのね?」
その時、ひたひたと足音がどこからか自分の方へ向かってくる。アリスは一気に恐怖が戻ってきて、咄嗟に振り向く。勿論、ただの闇しかない。

「誰ッ!?」
「…なるほど。なんか、それっぽい」
するとアリスの目の前に突然誰かが姿を現した。方向感覚が全く機能しない場所だが少なくとも、人の姿は見当たらなかった。
「私はね、アリス。この国に来た13番目のアリスよ。正しくは作られた、かな?うふふ」
声の主はアリスと同年代ぐらいの少女。頭につけているリボン、全く同じのエプロンドレスを身に付けているが、髪の毛は茶髪のストレートロングでエプロンドレスの下は深紅。特徴的なのは所々に巻いているベルトや包帯、右目の白い眼帯。アリスとは瓜二つなようで、全く反対の雰囲気を醸し出していた。

彼女も また、暗闇の中で鮮明に浮いて見えた。

「…13番目?」
「そうよ。不吉な数字でしょ」
不安げなアリスに対し13番目は無邪気な子供のような楽しげな笑みを見せる。

「その点100ていいよねー。なんかきりがいいし、学校ではすんごい名誉な数字じゃない。私赤点常連なの、このお洋服みたいにね。くすくす。」

自分の冗談が面白かったのか笑い声を漏らす。確かに学生において100という数字…点数がどれほどありがたいか。アリスも中々最高点までたどり着いたことはない。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -