淘汰の国のアリス | ナノ

城の兵士が皆全員処刑されたわけではないのだろうが、それでも結構な数はいるものと思える。ドアの傍で談話していたり慌ただしく動きまわりと行動パターンは2つか3つに分けられている。自分達はどちらかといえば前者の部類だが別に立ち止まっているわけではない。会話もセージが一方的に振ってくることがほとんどだ。女の子同士のかしましい空間にアルは一人置き去りにされていたがアリスにはどうも彼に話に加わるよう促すタイミングを掴めない。

「いやいやー、アルは元よりボクは雑用だから滅多にアリスが来てもお話し出来ないんだよねー!久しぶりに女の子と話すのはやっぱいいね!ねえ?アル!」
意外にもセージの方から彼に振ってきた。アルは脱力感すら感じる無表情で二人を見比べてなぜかため息をついた。
「まず小生の名前はアルカネットだ。あだ名で覚えられるのは好かないな。」
「…カスタネット?」
聞き間違えたのではない。なんとなく似ている言葉が頭に浮かんだから口に出してみたくなっただけで意味はない。
「…ぶはっ!…くくっ、マジウケるんですけど…カスタネットつって、最高!」
セージが一人笑いを堪えている。新しいあだ名を増やしてしまった。すまないことをしたとアリスは他人事みたいに考えていた。
「…好きにしなよ、もう。それとセージ、気持ちは分かるがお前がどんな立場なのか…」
「あーはいはい」
そう言うとさっきまでアリスの隣にいたのを前に飛び出して前方に背を向けて歩き出す。
「ボクねー、こう見えて男の子なんだよ!!
「………ええーっ、マジ!? 」
思わず話し方移ってしまい柄にもないフランクなリアクションをしてしまう。動物か人間かよくわからないのは散々見てきたがどちらも人間、動物と特徴できる部位は確認できた。どっちつかずの容姿をされては中々判断しにくいもので、アリスはセージを少女と決めつけていたので余計に驚いたのだ。尤も、「ボク」という言い方や名前を意識していればここまで驚くこともなかっただろうに。

「私…普通に女の子だと思って話してたわ」
「あはは、でも惜しいことしたなー。さりげなくスリーサイズとか聞き出そうと思ってたのになー。」
アリスはぎょっとしてわざとらしくセージに睨まれたアルカネットは呆れた顔で目を反らす。ちなみに、別に自分の立場を晒せとは言っていないのだから、お喋り好きな性格が災いした自業自得なのは棚に上げた。




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