淘汰の国のアリス | ナノ

「おやおや…セージにアルではありませんか。」
一人がこちらへ小走りでか駆けよってくる。ブロンドの短い波毛でよく見る西洋人形みたいに触りのがさそうだ。ジャックと似たような帽子とコート、下にはエプロンを着ている。真ん丸い目と小柄で華奢な体躯がボーイッシュな女の子という印象をより一層際立てる。後からゆっくり続いてきたのは顔立ちが精悍で恐らく少年だろう。エースと同じ帽子からは紺色の長い髪が横にだけ垂れていた。白衣を身につけているが帽子とは合っていない。

「今日はさぞかし大変でしょう。」
「いやいやー、それがですね!他の兵士さんが進んで片付けてくれたんで大助かりです!女王様からは「すぐに埋め合わせは出来ないから例の場所を掃除しろ」って。」
「…あー、まあそうですね。優先するなら」
金髪の少女は途中で息継ぎを感じさせないように一気に仕事状況を伝えた。すごい。きっと日常でもおしゃべり好きなんだなぁと勝手にアリスは想像した。
「アル、医療班の方はどうです?聞くまでもありませんが、一人重症者が運ばれたでしょう。」
ジャックはむしろ笑顔が通常装備なのかもしれない。とても爽やかで見ている方も爽やかな気分になりそう。一応女王の側近なので上司らしく振る舞う。白衣を着た少年が「はい」と返事したことからこの人物がアルで、金髪の少女がセージだとも一人の重症者がレイチェルだとも察した。

「小生の手にかかればあのようなものはかすり傷も同じ。処置は施しましたが彼が無茶をすれば…仕事は増えますね。」
小学生…?アリスは首をかしげる。だがかすり傷は聞き捨てならない。腕のいい医者からしてはそうかもしれないがたかだかかすり傷で意識が朦朧としないはずだ。

「あんな上司を持って大変ですねぇ」
ジャックがやれやれて肩を竦めるがアルは済まし顔のまま冷静に返した。
「…セージに比べたらマシな方だと思います。」

「そうですよ!同情ものですよ!ボクの上司は仕事すらまともにやりませんからねー!」
「こらっ!…ちゃ、ちゃんとやってますって!影で頑張るタイプなんです!」
「見えるところで成果をだしてない人間がいうと言い訳なしか聞こえませんねー!」
わざと周りに聞こえるよう言いふらすセージに困り果てるジャック。このやり取りでアルの先輩はエースでセージの上司はジャックと理解した。更に、ジャックがサボりの常連魔ということも(たいして意外とおもわなかったが)。



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