淘汰の国のアリス | ナノ

でもアリスが聞きたい真の意図からは概ね違っていたのだ。質問という形から自らの意見へと変える。
「いいえ。あなたはそんな風に思ってないわ。」
ジャックも急な相手の出だしの切り替えに驚いたが今は無言で更なる出方を待った。唐突に、脳内のどこかで自分に警告を促している気がした。「自分をもて」と。警告の意味がわからなければどうすることも出来ない。
そもそも目の前の少女は一体何を言ってるんだ。聴きたかったのは夫人の死にまつわる事だけじゃなかったのか。なぜこんな、厄介な流れに…。ジャックにとってこれほど面倒な場面はない。自分について干渉されるのは最も苦手だったのだ。そしてなにより気に入らないのは…

他人に自分のことをあたかも決めつけられたような言い方だ。
「あなたは本当は、ものすごいお人好しなんだわ。でなければプレゼントなんかくれないし、あの時だって助言したりしないもの。」
「そんなものでなぜ、俺がそうだと決めつけるんです?」
警告が先ほどよりうるさく鳴っている。わかっているから黙ってくれ。ちょっとずつ沸いてきた苛立ちを含んだ声にならない言葉は自分のやかましい脳たと、威圧感として目に表れていたみたいでアリスも多少たじろぐがすぐに負けないぐらい真っ直ぐな瞳をぶつける。

「じゃあ女王様から助けてくれたのはなぜ?」
「…それはお答え出来ません」
これだけ私情は全く関係ないのだが。私情はなくとも事情はある。しかしそれは彼女に言うのはまずいことなのだ。ここで渋っては逆に不利になってかしまうが仕方ない。それにしても割りと事務的に態度になりつつある。キャラではない。よほどガードが固くなっているらしい。



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