淘汰の国のアリス | ナノ

もしも余所者が知っていたとしたら厄介だ。そうでなければもうとっくの前にアリス達の耳にも届いていたはずである。いや、でもただ言う必要がなかったからかもしれない。アリスは急に考え込む。
「夫人が処刑された理由なんかアリスが聞いても仕方ないでしょう。…隠すほどの理由もありませんから話しますけど。」
アリスははって我にかえった。そうだ、自分が聞いておきながらどうする。彼の言葉からはどうやら後者みたいであった。
「公爵夫人が女王陛下の旦那様と親しげに話している所をたまたま目撃してしまいましてね。前々から夫人の事を好いてなかったようで何か不審な動きがあればただちに報告せよと言われてたんですよ」
「…それで?」
アリスは「じゃあ黙っておけばよかったじゃない」と心の中で呟いた。話が逸れてはめんどうなので口には出さなかった。

「取り敢えず報告しました。そしたらもう収集つかないぐらい嫉妬に怒り狂って…勿論、夫人に処刑がくだされたわけです」
「………」
アリスはあきれてものも言えなかった。誰かが見て聞いただけの曖昧な情報を鵜呑みにしたいした実証もせず、(アリスにとっては)たかだか嫉妬で尊い命が奪われてしまったのだ。あきれた後には激しい悲しみを越えて絶望感がこみ上げてきた。



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