淘汰の国のアリス | ナノ

「多少差はありますが、貴女方にも素晴らしい個室をご用意いたします!「諸事情」によりただいま部屋はがら空きですから。…さあ、アリス。ついてきてくださいね」
アリスは後ろを改めて振り返る。レイチェルはアリスの腕をひこうとして戸惑って、シフォンはジャックに常に鋭い視線を向けていた。フランネルはアリスをただじっと見つめていただけだがなぜだろう、一番彼女の目が優しく力強く見えた。

余計な心配をかけさせないよう笑みを浮かべて、目の前の人物に続いてロビーを後にした。あの森の時とは全てにおいて雰囲気も違い、いざとなったら助けも呼べる。何より、これは真相を聞き出せるチャンスだと思ったからだ。

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バラの模様が華やかなクリーム色の壁に黄金の枠に綺麗に飾られたニスでコーティングされ新品の如く輝く木造の扉が一定の広い隙間をあけて並んでいる。少しは見慣れた風景。前を歩いている人の隙間から見えるもしばらくは同じ景色が続いている。常にシャンデリアの光が照らしているのでずっとここにいると昼か夜かもわからなくなってきそうだ。

「ジャックさん。」
「はい、なんですか?」
今はもう当然恐れもなく自然に尋ねることができる。責任感のせいもあるのかもしれないが。
「…一つ聞きたい事があるの。あなたなら知ってるんじゃないかって。」
少し間を置いてから返事がきた。
「質問にもよりますねぇ。」
相変わらず間延びした適当な言い方だ。森の時はあんなにも不安感を煽ったのに、人の印象が変わるというのはこういうことなんだなと実感させられてしまう。その本心に何が潜んでいるかは検討がつかないがアリスを命の危機から救ったのは事実なのだから。

しかし気を緩むわけにはいかない。アリスは深呼吸をした後落ち着いた口調で例の質問をぶつけた。
「公爵夫人はなんの罪を犯したの?」
女王、処刑の単語を発しなかったのはここがその女王のいる場所で尋ねた相手が女王の側近であるのを警戒した上での自分なりのガードを張ったからだ。ちらほらと他の兵士の声も聞こえる。





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