「キティはすごいんだから!どんなにすばしっこいネズミも捕まえてくるんだからよほど好きなのねって感心しちゃうわ。この前なんかかなり大きいのを」
「いやあああああぁ!!!!」
アリスは話をピタリと止めた。ふと我に返るとマーシュの顔は真っ青で今にも泣き出しそうな様子でまた一本後退りをした。
「あ………。」
しまった、相手はネズミだった。ネズミの宿敵はその猫ではないか。
「…ごめんなさい…。でもおかしいわね!なんで猫はネズミを食べるてイメージがあるのかしら!」
なだめようとしたが逆効果なようで、アリスが近づく度にマーシュの後退りが二歩になってよく。
「ねえ、大丈夫だって!ここにいる猫もきっとあなたと同じ」
「…なにが大丈夫だよ!…お、俺の…………俺のお袋は……猫に…ああ、チェシャ猫に食われたんだ!!!」
アリスは歩み寄る足を止め疑問符を浮かべて考え出した。猫の種類には詳しいつもりだがチェシャ猫というものは聞いたことがない。
「……俺の友達は…客人として招かれてしまった…いつ餌食になってもおかしくない!あいつらが守ってくれるんだろうが…それでも俺は近づくことすら…」
話が理解できず、「何話してるかわからないわよ!」と一歩踏み出したらとうとう悲鳴をあげながら一目散に逃げ
ようとしたらがっしり腕を捕まれた
「…ふ、普通ここは逃がしてくれるとこだろお…」
「私はそうはいかないわよ…!」
中々の力を込めてるので怖さのあまりマーシュは固まってしまった。
「…ここに来て何も知らない人を置いていくつもり?そんなに怖がっても私は何もしないしキティもいないし猫があなたを襲うもんなら私が追っ払ってやるから!私を町の方まで連れてってよ!」
アリスの必死の剣幕の表情に、マーシュはため息と共に肩の力を抜き困った様子で呟く。
「…こんな「アリス」は初めてだなぁ…」
すると背中を向けて一旦後ろを振り向いて
「本当に猫から守ってくれる?」
と心配そうに尋ねてきた。本当に猫が怖くて仕方ないんだと追いかけるネズミの立場をしみじみと考えた。
「もちろんよ!」
胸を張ってそう言えばマーシュの後を小走りでついていった。
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