淘汰の国のアリス | ナノ

アリスは真っ直ぐ歩み続けた。このまま進んだらそのうちたどり着く、そんな謎の直感と自信が自然と彼女の足を動かす。そもそも大体どのような所でも目を引く物がない限りはうろつくことも少なく前に道があるならひたすら迷いなく進んでしまうのはアリスの中で「目の前が常に北」て考えているから。性格なんだとしか思ってなかったものだがこの国で出会ったアルマという人物(?)により「実は方向音痴」と気づかされた。

理解したのは理解した。でも理解したところで自分一人で直せるものではない。現に段々と夫人の家が見えてきたではないか。
木々の隙間からは見覚えのある風景…なはずだった。

「……?」
そこそこ豪華なお屋敷。アリスはどうやら最初訪れた時とは違う所にきてしまったようだ。違和感を覚えたのはそういうことではなく、もっと全体的な雰囲気そのものが別世界にも感じた。

「…なんか様子が変ね。」
何はともかく中に入れて違和感がどこからはっせられているのかも確かめるべくアリスは茂みをかきわけて枯れかけの細く乾いた枝を踏みながらできるだけ近づいた。

「…なんで…夫人が…」
「どうして…かわいそうに…」

「……?」
黒いスーツや質素なドレスを着た人の列が屋敷の中に吸い込まれていく。女性は真珠のネックレスやペンダントをつけており、男性も含めて手には白いハンカチを持っている。
「あの人達は一体誰?」
アリスが疑惑に思ったその時だった。

「…夫人が仕えていた召し使いさん達だよ」
「わっ…猫さん?」
「あまり大きな声を立てない方がいいらしい」

いつの間にか隣には、さもさっきからいたかのように堂々とチェシャ猫が立っていた。気配などは微塵も感じなかったが、彼の特徴でもあるので一度姿を認識すれば深追いはしない。





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