淘汰の国のアリス | ナノ

シフォンとフランネルは真顔だがレイチェルは時々耳を動かしている。食いついているのか。

「…ジャック。」
「はい!続きは100ドルいただきます!」
「別に聞きたくない。それより…なぜ貴様がそんな事を知っている?」
「そりゃあ俺の部屋は女王の部屋と同じ階ですから…」
自信満々に語るジャックが途中で固まった。
「ほう、つまりお前は自分の部屋へ戻る途中で…」
「あ、いやあその、聞こえるんですって!!」
「廊下まで聞こえたら皆大騒ぎだろう!!」
ジャックの顔が一気に青ざめる。逆に弱みを握られてしまい、必死に言い訳するもばっさりと斬られあわてふためく様は見ていてなんだか憐れだった。アリスは彼の意外な一面に驚きつつも二人のやり取りに笑みをこぼしてしまった。
「わざわざ聞き耳立てて…どおりで夜の付き合いが減ったと思ったら…!」
冷静にあしらっていたエースが徐々に怒りをあらわにした。夜の付き合い、アリスの頭の中には酒場みたいな場所でお酒の力を頼りに深夜まで愚痴を交わす二人の姿が浮かんだ。

「これは女王陛下に報告せねばならん…!」
「あぁ…そんな!夜のお供にするだけで別に悪意のある利用はしてないじゃないですか…!」
「二人だけの時間が貴様の妄想のネタにされているのだぞ!?うらやま…ええい許さん!」
「羨ましい?今羨ましいって言いかけましたよね!?」

アリス達は入る隙もなくただ野郎二人のみっともない小競り合いを傍観していた。この国ではささいな事でしょっちゅう喧嘩をしている気がしたが、仲が悪そうにも見えないのできっと喧嘩するほど皆仲がいいのだろうとそう考えたら場違いだがふと微笑ましく思えてきた。

しかしずっとこのままでいられても困る。ジャックも結構追い詰められている。多分、ばれたらそれこそ「処刑」並のいけない事を犯したのであろう。





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