淘汰の国のアリス | ナノ

「あーところでどうしてそんな事を聞くんです?」
「うわあぁ!?」
なんとソファーの下からジャックが上半身だけ姿を現した。これはまた何やらご満悦な様子で変わらぬ笑顔だった。登場の仕方が気味悪いにも程がある。側にいたレイチェルはソファーから数歩距離を取った。

「まさか中古品はお嫌いですか?」
どうやらエースに対して問いかけているみたいだが肝心の相手はどこにもいない。すごく腑に落ちない表情のシフォンは渋々ドアを開こうと手を伸ばした。

「誰もそこまで言ってないだろう。」
「「!!?」」
今度は壁に飾ってあった女王陛下の肖像画がドアのように開きそこには呆れ顔のエースがいた。今度はシフォンもアリスも何が起こったかわからず混乱していた。まさかのエースが、ドアではなくドアとは言えないドアから入ってきたのだから。別に普通に入ってくれればいいのにどちらも普通の感覚の人間には心臓に悪い入り方だ。

「一体どうなってんだよ!!」
「隠し扉…」
「…誰かさんと違って変な意味で尋ねたりはしない。今後彼女が女王陛下の身分を継ぐにあたって聞いておいた方が後で無難だ。」
うろたえるレイチェルと冷静なフランネルを無視してエースは面倒臭さそうに誤解を解いた。しかしそれは新たな疑問を生んだ。
「私はアリスになるんでしょう?女王にはならないわよ。」
「あまり俺の立場上こういう事は言いたくないんですが…」
ジャックはゆっくりとソファーの下から出てきた。下には通路でもあるのか知らないが服が少しだけ埃をかぶっている(にしても彼等は一瞬でそこへ行ったとしかありえない)。

「貴方がアリスになるにはどうしても女王陛下を倒さなくてはなりません。そしたらこの国は統治する人がいなくなっちゃいますねぇ。」
「アリスとなった時点で元の世界に帰るわけだが、一時的にアリスはハートの女王となってもらうわけだ。そこで物語は無事に終わる。」
つまり女王を倒した自分がその枠を埋めようというわけだ。最後の言葉がなんとなく気掛かりだが。
「私が帰ったらどうなるの?」
「その時は…その時です。」
帰った後の事まで考える必要もないとそれ以上は何も言わなかった。





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