淘汰の国のアリス | ナノ

…というか、エースは一体どうなったのだろう。隣で真顔で様子を眺めているのが目に浮かんできた。さっきかり止めようとする雰囲気もないのだから。

「まーまーそう言わずに!せっかく年頃の少年少女がいるのですから、恋バナとかほら下ネタだっていけますよ!!」
「悪いがここには馬鹿みたいなガキとガキみたいな馬鹿しかいない!!」
と、精一杯の力を振り絞ってなんとかドアを閉めた。

「……はぁ…はぁ…なんなんだアイツは…」
ちょっとした揉み合いが起こったドアの前で肩を上げ下げして息を切らしているシフォン。ドアの向こうからは何の反応もない。案外すんなりと諦めた様子だ。多分エースが再び入ってくる、その時はさすがにジャックはいないだろう。実際また邪魔されてはたまったものじゃない。

「…帽子屋さん?」
背中に突き刺さるような低い少女の声。振り向けば怒りをあらわにしたアリスがシフォンを睨みつけていた。幽霊の口論を根に持っているわけではない。
「馬鹿みたいなガキってどういう事!?」
「ああ、いや…その…」
さっきシフォンが咄嗟に口にした言葉が癪に触ったのだった。つい本音が出てしまい後の事は全く考えていなかった。アリスも自身の発言が事の発端になったのは自覚しており、自業自得なのもわかっていたがエースやシフォンにまで立て続けに言われたものには結構堪えた。

「う…だって、知らないものは知らないんだもん…」
「悪かったって。つい言い過ぎた…」
拗ねるアリスをシフォンは慌ててなだめた。その側でガキみたいな馬鹿(レイチェル)は
「まー俺じゃねーよな!」
と誇らしげに言っていた。少年少女、見た目的にはシフォンの方が自分よりどう見ても少年だ。前向きなのか馬鹿なのか。実際年齢的にはレイチェルが年下である事はジャックは知っているし問題になった「処女」の意味を理解しているのはシフォンもだしフランネルもだった。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -