「では単刀直入に申すとだな…」
そう言った途端口ごもってしまった。レイチェルはさりげなく部屋に入りシフォンの隣で訝しげに彼を睨む。無駄口を叩きそうにない人が躊躇うのにはやはり重大な話でもするに決まっている、とその場にいた全員が顔を強張らせていた。
特にアリスは嫌な予感しか考えられないぐらい恐怖心を抱いていた。
「アリスに聞く。」
少ししてからようやくエースは口を開く。
「貴様は…処女か?」
「え?」
「は?」
「しょじょ?」
「…?」
アリス達は皆揃って拍子抜けした反応を返した。その場にいた者全員の張り詰めた緊張の糸がぷつんと音を立てて切れた。わざわざ部屋を訪れてまで彼女に聞きたかったことなどわかるはずがない。だがまさか想定外すぎた。シフォンときたら尚更呆れている。
そしてアリスがその単語の意味を理解しているはずもなくレイチェルでさえも知らなかった。シフォンはこの状況をどう一人で片付けていいかわからず考えよりため息しか出ないぐらい追い込まれている。
「…処女って、何?」
「あ…アリス…」
約束の質問。ここは質問してきたエースが何とかしてくれることを密かに期待した。
「なんだ、そんなことも知らないのか。アリス」
真面目そうだと思っていた人物に馬鹿にされたように感じたアリスは内心軽く腹を立てる。
「悪かったわねっ!聞いた相手が知らないんなら答えられないわ!」
むきになって返すアリスにそこはちゃんと教えようと一人気にくわない顔を浮かべるシフォンを無視してエースは説明に入ろうとした。
「処女というのは…」
「未開通の女体のことですよぉ☆」
シフォンは勢いよくドアを閉めた。明らかに今一瞬、違う青年の声がしたのだ。というかその声の主は今まで全く気配を消してずっと隠れていたのかエースの後ろからひょっこり姿を現した。
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