淘汰の国のアリス | ナノ

「…不思議の国っていうとー…そのー…なんつーの?…紛らわしんだわ…。」
アリスは「は?」と言って怪訝そうにマーシュを見上げた。
「白ウサギは不思議の国だって言ってたわよ?私もてっきり…」
「あー不思議の国は不思議の国なんだよ。」
と苦笑いを浮かべ慌てて手を振った。

「不思議の国…なんだけど、この国はそれに似ているようで違う独立した国なんだ。」
アリスの頭が混乱する。マーシュの方もどうしたらいいか困っているようだ。
「…ったく〜…これぐらいの役なら白いのがやればいいじゃないか〜…。」

よくわからないまま誰かに頼まれたのだろうか?そうとしたら責めるのは可哀相だ。アリスは相手がこんな状態だからこそ自分が落ち着かなければならないと、難しく考えるのをやめて単刀直入に質問した。

「じゃあここは「何処」なの?」

その簡素な問いにマーシュは待ってましたと言わんばかりの明るい表情になり、心では「見てて飽きない」と思った。

「俺を含めこの国の住民はここを「淘汰の国」と呼んでいるんだよ!」
「…と、とうたのくに…」

知識の方は姉の読んでいる本から適当に覚えたものや、そこそこの名門校に通っており好奇心も強い性格から勉強も好きで(ただし復習など一度やったことの繰り返しは嫌い)普通の子供よりは多い方だと自負しているが、やはり大人でもわからないような難しい単語は知らないようで、「淘汰」という言葉がやっとに理解できなかった。逆にマーシュはなぜか堂々としている。

「俺も正直わからん!難しいこと考えずに生きてきたからな!…俺の役目はこれまでだし、多分後で違う人が教えてくれるかもしれないから…」
とアリスの肩を叩いてニッコリと笑い
「国の名前だけでも覚えとけってことかな!」
頭をむちゃくちゃに撫でまわした。飼い猫にさえしないことをましてや(仮にも)ネズミにされては多少納得いかないらしい。





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