淘汰の国のアリス | ナノ

「よう!なあなあ見ろよコレ、すっげー巻かれたんだけど腹に包帯って苦し…のわっ!?」
あの時の苦しそうな様子が嘘のごとく呑気なレイチェルだが本人以上に心配しただろうアリスは思わず彼に抱き着いた。

「もう…!心配したんだから!」
「ああ、アリス!?ちょっ、そこはまだ傷が…!!」
「あ…!」
平然としているとはいえあくまで応急処置を施してもらったにすぎないのだ。アリスは慌てて離れる。
「その…大丈夫なの?もう動いて…。」
「おう、自慢じゃねーけど俺回復早いんだぜ!大丈夫大丈夫!」
と軽く笑い飛ばしつついまにも泣き出しそうなアリスの頭を無造作に撫でる。アリスは「よかった…」と張り詰めていた感情が綻び堪えていた涙を拭った。

「すまなかったね…」
「あ……!」
レイチェルはドアの側でさりげなくこちらの様子を見つめているシフォンの存在に気づいてはなにやら気まずそうな顔を向ける。
「まさかこんな事になるとは思わなかったんだ。恨むなら君を行かせた僕を怨んでくれ。」
「あ…いや、別に恨むとかねーし…勝手な事をした俺の自業自得だからさ…謝るのはこっちだって。ごめんなさい…」
アリスからしたらどちらが悪いかを決めつける事なんで出来るはずがなかった。もし自分が最初から順序よく戦っていたらレイチェルが先走った行動をしてもそれを止めに行くぐらいの余裕はあったかもしれない。というよりも、自分の為に最悪な状況を打破してくれたり身を犠牲にして戦ってくれた人達を責めたくないのだ。今でも謝ろうとさえ思っているのに。

「…あっ、あの…」
思い切って謝ってみようと声を上げた。だが「〜〜だから」という謝るに至るまでの理由がまとまらない。
「なんだ?」
「…私の方こそ、えっとその…ごめんなさ…!」
アリスはその言葉だけで精一杯だった。きっと冷たくあしらわれるかもしれない。何も力になれない自分が悪いとしたってそう考えると怖くて目を合わせられなかった。






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