淘汰の国のアリス | ナノ

それを聞いてローズマリーは急に黙り込む。
「アリスの活躍によりこの庭の大半の手入れも終わり、処刑の仕事もこんなに片付いたのですよ?貴方の仕事に貢献したのも同じではありませんか!」

ジャックは片手で迷路の方を広げかなり大袈裟に演技がかった身振りをした。見渡す限りのバラは鮮やかな赤色の花を咲かせており地面には所々に亡骸が転がっているというなんともアンバランスで不気味な景色だった。でも形はさておき、これで彼女の目的が果たせたのであれば
アリスはむしろおおいに役に立ったと言える。


「それと彼女はプレイヤーの力を借りながらも最終的には「自らの手で」敵を倒したのです。…女王陛下、それでも彼女を処刑なさるのですか?」
ジャックはいちいち言葉の部分部分を強調した。そこにどんな意味がこめられているか理解したローズマリーはしばらく唸った後深くため息をつき、渋々納得したのかいつもの冷淡な口調に戻った。

「ふん。………エースよ、そやつをロビーに連れていけ。帽子屋と眠り鼠もじゃ。」
「畏まりました。」
エースはアリスの手を掴んだまま彼女を迷路の外へと連れ出した。アリスは抵抗はしなかったものの心に何かが引っ掛かり、意外そうな目で後ろを振り向く。ローズマリーは今度はジャックに何かを命令しているようだが聞き取る事は出来ない。

「………。」
引っ張られるままたどたどしく歩くアリスは彼の背中からはみ出た景色を見て心配な表情を浮かべた。

「…三月さん!!」
「奴なら大丈夫だ。」
思わず駆け出しそうになる所をエースに冷静に止められた。ゲーム会場から城までの道を足早に歩く二人の兵士が運んでいる担架には、腹部を抑えながら血まみれでぐったりしているレイチェルの姿があった。意識を失っているのか表情はまるで眠っているようにも見える。明らかに衰弱しておりとても大丈夫とは言えない状態だ。





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