淘汰の国のアリス | ナノ

「静まれッ!!!」

怒り任せにも聞こえるローズマリーの一言でさっきの雑踏が嘘だったかのように静まり返った。周りがどんな反応をしようと彼女は知ったことではなかった。

「…こんな小娘に妾が負けただと?許さん…辱めおって!…処刑じゃ!!今すぐこやつらの首をはねろ!!!」
と、勢いよく杖を振り下ろしなんとアリスを指したのだ。
「女王陛下…!?」
信じられないといった様子を浮かべたのはエースだった。
「アリスを処刑するのは彼女が負けた時の罰ゲームだとおっしゃっていたではありませんか!」
「うるさい!観客も皆じゃ。処刑、処刑、処刑せよッ!!!」
ローズマリーは叫び今度は観客席の方を指した。ざわめきから次第に悲鳴に変わる。

「…アリス、女王の命令だ。」
もう暴君と化した彼女に誰の声も届かない。諦めたエースはアリスの腕を掴んだ。
「嫌だ、離して!…こんなの無茶苦茶よ!どっちにしたって一緒じゃない!」
剣から手を離し引っぺがそうと必死に抵抗した。だが掴んだ手はびくともしない。
「や、だッ…嫌よ!死にたくない!!いやああぁ!!」

助けて。なぜかその言葉が出なかった。

「女王陛下!!」

その時、突如間に入ったのはまさかの人物だった。
「…ジャック?」
アリスは何故彼がこのタイミングで制止をかけたかさっぱり理解できなかった。おそらく他の二人もだ。

「どうしたのじゃ。」
「いやー…まあたいしたことないんですが…ちょっと。」
「用もないなら邪魔するでない!いい加減そなたもはねるぞ!」
ジャックはアリス達と交互に見ながら間に入って今度は呑気な態度でローズマリーに言った。本当に用もないのに阻止したとしたら確実にここでいまにでも処刑されるぐらい雰囲気は最悪だ。

「ええ確かにアリスは勝ちました。勝ちましたよ。でも見て下さればわかるでしょう?結果的に女王陛下の目論見通りにはなりましたし…。」





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