淘汰の国のアリス | ナノ

「おお!?しかしアリスはまだ出口付近で立ち往生しているぞ!?」
「自分だけゴールしたか?」
「いや、関係なくね?」

このゲームの本来の目的はどちらが先にゴールするかを決めることではない。より「功績」を残した方が勝ちとなるのだ。つまりいくら早く出口にたどり着いてもそれだけの功績を残していれば自分の思うつぼだ。ゴールした時点でゲームは終了となるのだから。
しかし制限時間が設けられているのにわざわざ早くゴールする必要もあるのか。相手を強制終了させられるとはいうが時間をいっぱい使って差を広げた方が有利だと観客もきっとそう思っている。1番耳を疑ったのはシフォンだ。

「なん…だと…?」
それに比べ普段どおり落ち着いているフランネルははっきりと彼に言った。
「大丈夫よ。同じタイミングで二人が出るなんてありえないし、ゲーム終了なら敵の攻撃も終わるはず」
「そうだとしても奴は味方を置き去りに…」

そんな中、観客が一気にざわめいた。それも先程の歓声とは違う、度肝を抜かれたような驚きを表す声だ。

「なんと!ゴールしたプレイヤーが監視役を襲っている!何事だあ!?」

耳どころか目を、現実(すべて)を疑った。定位置からわずか後ろではジャックと、剣を構えているレイチェルが対峙していたのだ。



「…てめえか!兵士を…アリスまで操ったのはッ!!」
怒りのあまりひどい形相のレイチェルに対しジャックはずっと変わらず薄ら笑みを浮かべ平然としていた。
「いやはや仕方ないですよ、コレ。女王陛下からのご命令でして…」
「命令だあ!?人を操作してまでこのゲームをやる価値があんのかよ!」
「価値…?」
するとジャックはまるで人を馬鹿にするような嘲笑を浮かべながら吐き捨てた。
「価値も意味もありませんよ。ただ俺はこのゲームを成立させるのが役目ですから…そうでもしないとこいつら逃げてゲームにならないじゃないですか。」
「…いかれてやがるぜ!!」
思わず剣を強く握った。ジャックは逃げる様子もなく危機感が全く感じられない。
「ああ、ちなみにアリスはですね…俺の独断で、操ってはないんです。彼女の潜在能力を覚醒させた…といったらお分かりでしょうかね?」





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