淘汰の国のアリス | ナノ

「…つ〜っ…耳いてーなぁオイ、しかもすげえ悲鳴だし…」

見た目は20代後半ぐらいの青年で垂れ目で茶色の天然パーマが印象的だ。服もセーターにジーンズと着飾りのないラフな格好をしているので話しやすい雰囲気だが…やはり動物の耳と尻尾が生えている。どうやらネズミのようだ。

「…だってあなたが驚かせてくるんだもん!」
青年は耳に突っ込んでいた指を離して膨れっ面のアリスをなだめるように言う。
「あっはは、いやぁ〜ついつい癖でね。ごめんごめん。それにしてもナイスリアクションだな、最高!」
青年はぐっと親指立てる。アリスもさすがに呆れたようでこれ以上彼にむきになるのも馬鹿馬鹿しいと思い一息ついて平然とした態度に戻った。

「…あなたは不思議の国の住人ね?私の名前は…わかるかしら?」
「こらっ、一度に二つも質問するなんて失礼にも程があるぞ!」
と言い返され思わず黙った。

「って白う…誰かさんなら言うんだけど俺は違うよ」
そういえばこんな会話ついさっき誰かさんとしたような気がした。…その誰かさんのことを(しかも同じような会話で)今思い切り言われているのだが。今頃どこかでくしゃみしているかもしれない。想像するとおかしなもんでつい笑ってしまった。

「そーそー俺は不思議の国の住人さ。君以外はみんなそうだよ。そして君はアリスだ、みんな承知だよ。ちなみに俺の名前はマーシュで彼女は随時募集………んっ?」
(アリスにとってはさほどどうでもいい)自己紹介をしていると突如何か気づいたように目を丸くした。

「どうかしたの?」
「……あー、いやそのー…」
頬を掻いて気まずそうな顔で視線を逸らしながら話した。




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