淘汰の国のアリス | ナノ

「でやあぁ!!畜生ッ…ん?」
外の空間と薔薇の迷宮を隔ている壁の三番目の隙間から見えたのはハートの城でローズマリーの側近の一人であるジャックが立っている。
「あいつ…あんなところで何して…」
二番目の隙間は右側から敵が出てきた。アリスがその巨大な剣を盾に攻撃から防御する。隙間の後ろに敵がぎゅうぎゅう詰めに押し寄せてくるのに焦りを覚え応援を要請した。
「三月さん!」
「手に持ってるのは…?まさか!」
「レイチェル!!」
必死に自分を呼ぶ声に慌てて振り返る。アリスの力はもう限界で大分足に力を入れて踏ん張り地面が刔れていた。
「頭を下げろ!」
肩に力を入れながら剣で隙間を防ぎ頭を下げた。汗が滴り落ちる。レイチェルはその身長差を活かし、アリスの頭上から剣を滑らせるように斬った。
「そこをどけ、道に出させるんだ!」
「…っ、でもこのままの方が」
「敵がいつも同じヶ所を狙うと思うな!」
そうだ。今のアリスにとって腹から下は全く防御出来ていない状態だ。もしここで脚を負傷したら出口まで辿りつけない。仮に腹に怪我を負ったものなら…。剣にかかる重みが少し軽くなる。アリスはギリギリまで後ろにさがり二人に分かれて敵を薙ぎ倒していった。狭い道に散らばる血、濃い薔薇の香りと鉄の臭いが混ざりあって吐き気がしそうだ。

「アイツの仕業か…!」
アリスが豪快に敵を倒していく中、突然レイチェルがおもむろに出口に向かって走っていった。一人を置き去りにしてゴールを意味する白いアーチを抜けた。ラッパの音がいっせいに鳴る。アーチの両脇に立つ鎧を外したトランプ兵士の一人が手に持っていたメガホンを口元にあて叫んだ。

「ただいまアリス側のプレイヤーがゴールしました!!」

その瞬間、観客席からは今までにないぐらいの最高潮の盛り上がりを見せた。





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