淘汰の国のアリス | ナノ

「…こいつは?」
縫い目でわかったのだろう、模様を凝視したらハートの数は六つあった。
「…どうしたの?早く進みましょう」
「いや、うん…」
足を止め屈んで見ているレイチェルにアリスは早くいくよう急かした。渋々立ち上がり曲がり角を進んだ。しかしまだどこか気掛かりなのか何度か後ろを振り向くが、自分の後を懸命についていく少女の姿しかない。

「三月さん?」
「…なあ、アリスは気付いたか?」
「何を?」
確信はないがもしかしたらアリスも察しているかもしれないと試しにさっきの兵士について尋ねてみた。
「さっき倒した奴…俺達が女王と出会った時にいたよな?」
そう、ローズマリーと対話し彼女が立ち去った後にいっせいに喚きだした兵士達の中でとりわけ悲鳴をあげていた一人と同じ模様の服を着ていたのだ。

「そんなの覚えてないわ」
「そっか…」
あんなに一度の数を意識しない限り覚えられるわけがない。勿論レイチェル自身全員を覚えているわけではない。

「でもあんなに嫌そうにしてたのに…」
「女王様に喝を入れられたのでしょう?彼らも死にに行くつもりで臨んではないだろうし」
「そんなもんかあ?」
明らかに死にに行っているようにしか見えないが、最終的にローズマリーが一体どのようにして彼らを説き伏せたのか。もしかしたらやけくそなのか。にしたってアリスはやたら冷静な態度をとる。何となく自分の意見をしっかり言うタイプだという印象はあったが、本当に何を考えて言っているかアリスの本心がいまいち掴めない。

「お…っ!?」
二手にわかれた道を右に曲がったレイチェルはその先にある物に驚きと同時に表情の堅さが消えた。





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