淘汰の国のアリス | ナノ

だとしたら彼の手持ちのカードは本来「トランプ兵」の一枚だけである。ジャックの手の中にはもう一枚、「誰かの」カードがあった。
「……待て!アイツ…「そんなことも」出来るのか!?」

シフォンは誰かを把握する以前にジャックの能力の思わぬ進化に信じられず目を見開いて戦いた。

「嘘だろう!?一度に二人も…複数を操作しておきながら別個人を…!!」

シフォンの言うことが正しければジャックは迷路中にいるトランプ兵を皆が皆自らの意思で戦っているように操っておきながら、更にトランプ兵とは違う個人をこれもまた自然に操っているとなる。このゲーム会場がほとんど彼の独擅場となったに等しい。

「問題は誰を操っているかだわ」
「…あの二人か?」
二人が1番に候補にあげたのはローズマリーかエース。ジャックが彼女達に荷担するのは納得できる。だがフランネルの賛同する返事はない
「操る必要…あるかしら…?」
「どういうことだい?」
「意味ないじゃない。あんなの、おてのもの感がするし…。」
「…言われてみれば…。」
自らゲームを主催した側だ。ゲームを急かした所やルールを制定した所、なにより彼女の普段の粗暴で強気な性格ならむしろ必要ないぐらいだ。エースも女王の側に使える兵士で実力も経験もある。わざわざジャックの力を借りるまでもなさそうだ。

「じゃあ誰かしら」
「お前が引っかき回したんだろう…。」
可能性のある確率を見事に破綻させといてまた尋ねてくるフランネルにシフォンは呆れ思考を閉ざしそうにまでなった。

「…気付かないの…?」
「…………、なんだよソレ」
上目遣いで見られたら強く言い返せなくなるもその問いの意味の理解に苦しみ眉を寄せしかめっつらに近い表情で見下ろした。

「ああ…気づきたくないだけなのね…きっと。」
「だからなんなんだよソレは!」




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