淘汰の国のアリス | ナノ

「手も何も動いてないぞアリス!!」
もしかして見透かしていたのではないか?アリスがこうなる事もおそらく始めから予測していたのではなかろうか。

まずい。このままではまずい。それを1番わかっているのはアリス自身だ。しかし身体が動かない!恐怖心が纏わり付いて動けない!そんなアリスに無残にも背後から敵が襲い掛かってきた!

「…………………!?」


―本当に怖いだけなら大丈夫です―

その時、アリスの頭の中に誰かの声が割り込んで直接入ってきた。

―さあ、戦いなさい―

どこかで聞いた事のある男性の声。言われるがまま、剣をゆっくり持ち上げた。




「ぎゃあああああああぁ!!」
後ろからの断末魔にレイチェルは肩が跳ね上がった。いきなりというのもあるが、何より自分より後ろから悲鳴があがるわけがないのだ。あがったとしても野太い男の声ではないか弱い少女の必死な叫び。考えたくもないがそれしか考えられない。

「アリス!!」
対峙していた相手の剣を遠くへ跳ね飛ばして後ろを振り向いた。そこには有り得ない光景が広がっていた。釣られて視線を移したローズマリーも目を丸くしている。

敵に囲まれている隙間から見えるアリスは剣を力任せに大きく振り回していた。取り囲んでいた敵も瞬くうちに赤い飛沫を散らして倒れ、辺りのバラは赤を通り越して深紅に染まっていた。

「…あ、アリス?」
レイチェルの視界に立っているのは今まで自分が見てきたアリスの姿ではない。このような事態を誰が考えていたのか。ずっと自分の後ろをついてまわり倒したおこぼれを倒していって、ふりだけする少女の姿はない。息を切らし肩を上下させてはいるがまるで雰囲気そのものが別人なようだった。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -