淘汰の国のアリス | ナノ

ローズマリーは不気味に笑う。
「証拠ォ?そんなものはないなァ!!」
つまり今はどちらにも今までの自分が置かれた状況下を証明できるものがないのだ。全てはこの厚い壁のせいで!更に証拠が無くて不利なのは明らかにアリス達だ。
立場的に援護されるのは向こうだろう、説得力もある。こちらもいつまでも黙っているわけにはいかないがあまりの理不尽さに言い返せる理論が全くもって思い浮かばない。

だが考えてみると、お互いに証拠がないのなら敵側を不利に追い詰めることだって出来なくはないのだ。ローズマリーはそこもちゃんと考えていた。

「ならば今から証明しようではないか!」
「…女王陛下、何を…!」
エースも彼女の行動に焦り出すがお構いなしだ。

「我等とアリスらはここじゃ!!遠慮はいらぬ、かかってまいれッ」
迷路の遠くまで聞こえるであろう大きな声で、なんと自分達のいる地点をわざわざ敵に晒したのだ。誰がこんなことを予測しただろうか。ローズマリー以外のプレイヤーはみんな混乱している。

「アリスが本当に己で倒したというなら今から来る奴らもなんなりと倒していけるよなァ?」
「………………ッ!?」
「……………てめぇは…」
せまりくる足音。どうしていいかわからず不安になり剣を強く握るアリス。レイチェルはとっさに考えた。自分がさっさと片付けてしまえばいい。どうせ相手は大勢の敵を相手に戦うだからこちらの様子を伺う暇は無い。

「お前一人で何とかなる数じゃねえぞォ?それと、妾も含め周りから観られているのも忘れるなよ。」

そうだ。この場所自体が常に晒しものになっていた。外ではジャックが力を施行している。向こうもこちらも下手な真似は出来ない。

「…これぞまさしく四面楚歌ってやつだな。」
前方から数人の兵士、もはや殺気立っているのを全身で感じる。もう一本の剣を抜いて構えた。エースはすまし顔で長剣を前に構えていた。





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