淘汰の国のアリス | ナノ


「無気力試合はよくないぞォ?アリスぅ。」

十字路の真ん中を歩いていた所、右の方からローズマリーとエースがやってきた。濃い赤色と黒色のドレスを着ているせいか血飛沫が目立たないが、最初は持っていなかった等身大の大きな鎌には赤黒いものがこびりつき雫を垂らしていた。エースも白いマントが鮮血で真っ赤に染まっている。

「今の話しっっっかり聞いたよォ。お前ら妾が説明してやったゲームのルールを忘れたのかァ??」
邪悪な笑みに口調も荒くなっていた。怒ってはない。しかし地雷だらけだ!さすがのレイチェルもやや不安を感じた。
「アリスは俺任せにはしてねえ。ちゃんと自分で…」
「自分から、ではなかろう?」
ローズマリーの言う通り、アリスは自ら敵を倒してはいない。だが仮に「そんなことはない」と言ったら向こうも追求はしない。
「そんなことはない…」
「なら後でジャックに聞こう。奴は我等が誇る王宮導師じゃ。透視で全て監視して貰っておる。」
「…………!!?」
二人は戦慄した。この何十にもわたる茂みの壁を、ばかみたいに広い敷地を、隅々に渡るまで見張っているというのか。彼からしたら障害物がないその場所で動く者は例えるならチェスの駒の様に見えるのだろう。王宮導師の力を改めて思い知らされる。

「いざとなったら観客どもから聞いてもいいのだぞォ?」

にわかにざわつき始めたと思っていたら城の窓から中には身を乗り出しベランダにまで押し寄せてまでゲーム観賞に熱が沸いてる観客達で溢れていた。

「…ならお前は!自分でやったっつー証拠はあんのかよ!!」
観客達の野次や応援や適当な実況に苛立ちを覚えながらもレイチェルが反論に出た。壁が邪魔をしてお互いの戦況を確認できないのを利用するのは簡単。この流れでアリス側を応援する声が出そうにないが。





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