その後も順調に向かってくる敵を撃破していった。運が悪く挟み打ちになった時もレイチェルは右足を軸に遠心力を利用し二本の剣を振り回してあっという間に一網打尽で軽快に倒していき、アリスはその反動で倒れてくる敵を寸断してと比較的に役割分担の出来たいいペースで進んでいる。だがやはり断末魔にいちいち怯えるアリス。斬る度に「早くこんな悪夢終わらないかしら」と常々願った。残念ながら悪夢ではなく現実だ。
「…んにしてもキリがねーな。出口なんかあんのか?コレ…」
お互い休みなく走り続けているので体力もかなり消耗しているはずだ。しかしこちらがどんな状況であろうと関係ない敵は次から次へとやってくる。
「仕方ねーな。いっちょ使わせてもらいますか。」
何を考えたのか剣を一本鞘にしまったのだ。こういう状況では明らかに数の多い方が有利だろうに。敵は相手が何を企んでいるかは知るわけがなく、容赦なく剣を振り下ろしてくる。レイチェルは空いた脇からすり抜け後ろに回り敵の頭を掴んだ。
「……貴様!!……う…ッ」
このぐらいで怯むはずはない。だが頭を掴まれた瞬間、敵の身体ぐらつき大きく傾いた。勿論その隙を逃さずレイチェルの剣は彼の胴体と首を分断した。
「きゃああ!!」
アリスは小さな悲鳴をあげる。ついさっきまで身体の繋がっていた部分が足元に転がってきた。
何より怖いのが
なんだかいつもの三月さんと違うということ
戦い方もやや変わっていった。最初は邪魔物を斬って進むだけだ。分かれ道の片方からの縦に並んで敵がこちらを目掛けて走ってきた。並んでいるが一人と一人の間は十分にある。1番前を走っていた敵は今までと違い体格もしっかりした筋肉質だがレイチェルから回し蹴りを食らいしばらく悶絶していた。よく見たら鎧にヒビが入っている。
軽々と背後をとり守られてない首を狙い手刀を入れ、力が入らなくなった自分より大きな身体の男の首ねっこを掴み、後ろから切り掛かってくる敵に向かって片手で投げ飛ばした。その間10秒も経ってないだろう。雪崩のように崩れ、やっとに起き上がれない兵士。レイチェルは馬乗りで片手を固い鎧に添えて先ほど投げ飛ばした男もろとも剣で勢いよく突き刺した。
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