淘汰の国のアリス | ナノ

「始めッ!!」
鐘を鳴らした兵士の掛け声で両方が一気に動き出した。迷路には二つの入口がある。ローズマリーの方は鎧を渡してくれた兵士のエースが後ろの剣を鞘から抜き先手を切って駆けていき、その後ろを優雅かつ大股でついていった。アリス達も少しの差も開かせまいと急いで迷路の中へと走っていく。

「いいか、さっき言った通りだ。」
「う……うん!」
お互い顔を合わせることなく花咲く壁の間の狭い道を縦に続いて進んでいった。
「…もう嗅ぎ付けてきやがったか!」
レイチェルが言ったほぼ同時に向こうから複数の足音がこっちに向かってくるのが聞こえる。すると曲がり角から三人のトランプ兵が飛び出し剣を構えながらこちらに向かって襲いかかってくる!曲がり角とはいえど敵までの間合いは十分あった。

「うおおおおおッ!!!」
三人は一斉に攻撃してきた。だがそれにびびる事なくレイチェルは走る足はそのまま剣を横に一振りした。三人のタイミングが揃っていたおかげでまとめて倒す事が出来たのだ。辺りの満開のバラは赤い模様で彩られ、染み込むようにやがて深紅にへと色を変えた。ただのバラではないらしい。
「ひッ…!?」
アリスの方に倒れこんでくる一人のトランプ兵。ゲーム前に言われた事がずっと頭に残っていたがそれ以前に、拒絶反応で力いっぱいに剣を振り回した。

トランプ兵の身体の間に向こうの景色が見える。

「……あ…うあぅ…」
「大丈夫だ、アリス!その調子で行くんだ!!
「……うん…」
例え虫の息でも人を自らの手で斬ったのには変わらない。パニックに陥るアリスを一押しするレイチェルの姿を見てふと目を逸らしたが感触はなんとなく掴めたしここで固まっていてもどうしようもない。剣を握って足を進めた。

レイチェルの白いブラウスに飛び散っているものがあまりにも生々しかったものだから。




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