淘汰の国のアリス | ナノ


「…あれ、そんなに重くない」
試しに剣の柄を持ち上げた。アリスの身丈近くある大剣なのに軽々と振り上げた。もしやこの防具より軽いのではと疑うぐらいだ。

さすがに大剣構えた自分の姿には違和感を覚えた。本当にアリスもよくやるゲームの世界でしか有り得ない格好で剣の重みは「本物」だといっている様だ。レイチェルは両手に剣を構えて堂々としている。


「………あのっ」

しかり「気になる疑問」は喉の奥まで達し、もう聞かずにはいられなかった。
「一体何を…」
「今からルールの説明をするッ!!」
アリスの焦りを汲み取ったのか、それとも自分が早く始めたいだけなのか。髭の男性からメガホンを受け取りエコーのかかった大きな声を張り上げた。ただでさえでかい声なのだから側にいるアリス達は耳が痛い。

「二人一ペアになってこの迷路を進んでもらう。曲がり角、行き止まりや分かれ道などに「トランプ」が配置しており気配に気づくと襲いかかってくるだろう。」

それだけではいまいち理解できず、剣の柄をぎゅっと握っている。だがなんとなく、嫌な予感がしてならないのだ。

「ゲームプレイヤーはそいつらを倒していきながら進んでほしい。」

的中した。

しかも最悪の形で。

早速抗議をしようとしたレイチェルを押しのけてシフォンが反論した。
「…お言葉ですが女王陛下。彼女には少々酷すぎるのでは…」
「何を言う。我々が望む「アリス」ならばたやすい事じゃ」
「………そんなわけ…」
ローズマリーの毅然とした態度にシフォンは何も言い返せなかった。

「ただ倒しただけではダメである。制限時間内により周りのバラを「染めた」方が勝ちじゃ。もし先に出口についた場合はその時点でゲーム終了となる。」

「…要らない兵士の処刑と庭の「手入れ」が一度に沢山できるし女王にとっては一石二鳥てわけか…胸糞悪い…」
レイチェルは悔しそうに歯を食いしばった。こちらには何の得もなければ肉体的にも精神的にも深いダメージを追うのは確実であろう、一人の少女が身体を震わせている。

「迷路内で一度来た道を後戻りする事は認めるが逃亡は認めん。リタイアも選手交代も許さん。一人任せもだ。見つけ次第処刑する!!」





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