淘汰の国のアリス | ナノ


「帽子屋なら出来る。「アレ」を使って「同じ要領」でやるのじゃ。」
「畏まりました。」
するとどこからかお茶会の時に見た杖を取り出した。
「ペンダントを地面に置いてくれ。」
二人は今から何が起こるかわからず言われるがままペンダントを足元に置いた。シフォンは一歩へ、そして深く一息吐いて肩の力を抜けば杖を高らかと振りかざす。

「…eins zwei…drei!!」

アリスが息を呑んで見守り、そんな自分に注がれる視線に耐えながら何か呪文のような(ただのドイツ語だがアリスでさえ理解しておらず周りからはそう捉えられた)言葉とともに勢いよく杖を振り下ろした。

ボンッという爆発音とともに白い煙が巻き上がり、拍子にアリスとレイチェル(のみ)小さな悲鳴を上げ思わず目を固く閉じたが煙も段々空気の中に消えていき恐る恐る足元を確認した。

「「…えっ、えええーっ!!?」」
なんとそこにはかわいらしいペンダントなんかなく、まさしくゲームの世界にしか存在しないような刃も長さも巨大な剣と細身で長さは1メートルぐらいの剣が二本横たわっていた。杖から銃、斧からラッパと物から違う物へ変形する様子を目の当たりにしてきたとはいえペンダントの形からしてさほど驚く事はない。今1番驚いているのは手品のようなその所業。

「女王陛下…」
「あのまま持っていかせるのも手間がかかると思ってな。」

「すごーい帽子屋さん!マジシャンみたい!!」
「ほんとほんと!胡散臭さが上がったな!!」
女王には逆らえず、後ろからの子供のような黄色い声が逆に彼にとってはただの精神的攻撃にしかすぎない。というか悪気はないレイチェルの言葉が何気に1番深く心に刺さった。これからきっと「帽子からハト出して」と言われたりするのを考えたらもう歯を食いしばる思いだった。恥ずかしいので帽子を深くかぶった。





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