淘汰の国のアリス | ナノ


全てを装着した二人の姿は中々様になっていた。
「似合ってるよアリス。戦う乙女といった感じだ。」
「勝てる気がしない…」
シフォンとフランネルが絶賛するもアリスはぎこちない笑顔だった。
「あ、あはは…ありがとう…」

コルセットやベルトできつく締められている上に防具が予想以上に重いのだ。なんだか着ているだけで元気がなくなっていきそうだ。おまけにマントが風になびいてエプロンドレスより後ろの方が邪魔で仕方がない。

一方レイチェルも同様にそのまま上に身につけているわけだがえんび服に銀色に輝く防具という組み合わせはかなりの違和感を放っている。だがそんな周りの変な物を見る目も防具の重さも全く気にならないどころか、何故かものすごいドヤ顔だった。そして一人はしゃいでいる。

「やっべ!なんか知らねーけどテンション上がってきた!鏡ねーかな鏡!」
アリスは比例するかのようにテンションが下がってきた。

「…ほう、いつもは帽子屋が参加するのじゃが珍しいな。」
迷路を注視していたローズマリーがこちらへ話しかける。

「こういった時こそたまには譲ってやったんです。…貴方は何も身につけないのですか?」
「奴らには妾に合わせてもらっただけよ。ゲームにおいてはフェアでないとならぬ。」
再び迷路を監視する。レイチェルは自分の姿を同じ防具で普通にかっこよく着こなしているアリス相手に見せびらかしていたので二人の会話には全く気付かなかった。迷路から聞こえる足音もなくなり辺りは静かになった。

「よし、全員配置についたな!!」
ローズマリーが声を張り上げアリス達の方の準備の進み具合を視線だけで確認する。

「そのペンダントはただ首にさげる物ではない!」

二人は首元からペンダントを外した。ちなみにアリスのは一つ、レイチェルのはチェーンに二つの剣の形をした装飾が通してある。





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