淘汰の国のアリス | ナノ

一歩進もうとしたが、立ち止まり後ろを振り返る。
「確か…何か踏んで滑ったような気がしたんだけど…」

後ろには走ってきた道さえ見えない。視線を下に向けると、何やら小さな白い何かが落ちていた。
「……手袋?」
見たところ、子供用ぐらいの小さな布手袋だった。落ちているのは右手袋だけ、アリスが踏んでしまったため少し汚れてシワになっている。おそらくピーターがつけていたものだろう、落としたのを気付かず行ってしまったに違いない。

手に取ると、エプロンドレスのスカートの大きなポケットにしまった。
「転んじゃった分もう追いつけはしないでしょうね。でもいつかは会えるわ。会って、コレを渡さないと…」

そう言うとアリスは走るのをやめ普段歩く速度で歩いた。











やがて暗闇が自然に色を帯び、次第に光も差し込んできた。穴に落ちていた時より距離も何も短いが自らのペースで尚且つ景色も変わらなければさぞかし長く感じたことだろう。アリスはようやく明るい場所に出れて心から安堵した。

そのまま歩くと扉があった。両脇にあるランプの灯のおかげでちょっと離れた所でも確認できた。扉の真ん前で立ち止まるも、アリスには迷う理由がなかった。
「この扉の向こうにはどんな世界が待っているのかしら!」
いかにも「物語の主人公」らしい台詞とともにドアノブを回し重い扉を力強く押した。

「んっ………。……うわぁ〜…あ…?」

リアクションが先回りして口から出るもその景色に拍子が抜け。



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