淘汰の国のアリス | ナノ

「一体いつ使うというのかしら…」
どちらかと言えば今時のRPGを思わせるような一式だ。シフォンは下の方にある白い布を取り出しては広げてみせた。身体を包めそうなぐらい大きい。

「ただのトランプ遊びじゃなさそうだな…」
「もしこのゲームが気に入ったとしても私のいる世界では遊べそうにないわ」
こんな広い土地とごつい物を揃えるのは難しい。

「トランプ共よ!適当な配置に急いでつくのだ!!アリスらはその間にそいつを身につけよ!」
ローズマリーの後ろに並んでいた兵士達が一斉に散らばり迷路の中へ入っていく。話す声はなく、足音しか聞こえない。

「え…トランプって…兵士さん達?」
コルセットを自力で巻きながらアリスが呟いた。エプロンが邪魔にならないようベルトを締めて白い布は(とりあえず)マントとして装備した。
「ここでは兵士達の事をトランプ兵と呼んでいる。」

言われてみれば皆トランプの模様をあしらった服を着ている。ここの城はバラとトランプがモチーフだと把握した。
「なあんだ、紛らわしいったらありゃしない。」
「…彼女の言ってるトランプってもしかして…」
「あはは、おかしな事を言うのね。そんなわけないじゃない!」
動きまわるトランプ兵を睨みながら言うシフォンををアリスは笑い飛ばした。彼女はゲームに使用するトランプをあくまで「カード」として捉えていた。「紛らわしい」の言葉からも伺える。

「あ…でももうひとり分あるわよ?」
箱の中にはまだ手足と肩を保護する防具が残っていた。

「…レイチェル、今回はお前が行け。」
シフォンは視線の先をそのままでさっきからずっと箱を抱えているえんび服の青年に言った。
「うえぇ!?お…俺ぇ!?」
突然の名指しに素っ頓狂な声を上げる。

「なんとなくだがコレは僕には向いてなさそうだ」
しかし相手の淡々とした口調と真剣な表情に心裏を察したレイチェルは黙って箱を下ろしその中の物を身につけた。





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