淘汰の国のアリス | ナノ


「ずいぶん大掛かりなのね。たかがゲームでしょうに。」
「観客かもしれないよ」

観客にしては楽しそうな雰囲気は一切感じられない。むしろ綺麗に列を作り規則正しく歩く様は機械的にも見える。みんな同じ無表情をしていた。それに比べローズマリーは随分と上機嫌で鼻歌まで歌っている。

「お互い揃ったようじゃな。ピーターよ、お主は次の仕事に向かえ。エースよ、あやつらに例の物を差し出せ。」

ピーターはさっき自らが客を連れて歩いた道を戻り、エースと呼ばれた鎧を着た青年が両手に抱えている大きな木の箱をアリスに差し出す。
「…なんだろう…ッ、重た…!」
腕いっぱいの箱を抱えた瞬間、上半身が大きく重力に吸い込まれた。持ち上げようとするも力が入らないぐらい箱は重かった。一体何が入っているのか。
「…………持つよ。」
腕はプルプルと震え足も大股で踏ん張っている少女の姿を見兼ねたレイチェルはそう言ってアリスからいとも軽々と箱を持ち上げた。

力の差というか、同じ物を持っているとは思えない。片手で持って反対の手で器用に紐をほどいているのだから。

「…あ?なんだぁ〜これは…」
箱の中身を見て訝しげに眉を寄せる。アリス達も気になり覗き込んでみた。

「…えっと…、鎧?」
「…コルセットまであるぞ?」
「このペンダントは何かしら」
皆が疑問符を浮かべた。箱の中に入っていたのは銀色に輝く甲冑のような物が手足用が二人分で肩用は一人分と固い鉄製の青銅色のコルセット、下には白い布と剣をモチーフにしたデザインのペンダントがある。これを装備すればいいのかと概ね理解はしたがアリス達の「トランプを使うゲームになぜこんな物が必要なのか」という根本たる疑問はより一層深まるばかりだ。





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