淘汰の国のアリス | ナノ


「そもそもお前は目障りなんだよ!この国に必要なウサギは俺だ!」

「!!?」
ちょっと見てない間に急展開になっていた。いつから喧嘩の話題が変わったのか知らないがピーターがそれに強く反論した。

「僕は「アリス」をこの国に導くという重要な役割を担っている。貴様の様な種付けもどきとは違って僕は必要とされている」
「種付けぇ?なんだよそりゃあ…てーか言わせてもらうけど喋って走るだけなら俺だって出来るぞ!」
「僕の様に変身する力もないくせに!その姿で人の家の周り走ってみろ!大概の世界では変質者扱いされるだろ!」

アリスは頷く。だけど喋って走るウサギも類に見ない珍発見だと思うが。

「俺だって昔は…、ま、まあ連れて来たって処刑するのもお前なんだしマジ同情するわー」
「うるさいッ!!」
アリスがはっきりと全て聞いてしまわぬうちにピーターは相手の嫌みを遮る。そして片手に握っていた斧を構えた。言い返そうと思えばまだいくらありそうなものだが、地雷を踏まれたピーターにそんな余裕はなかった。
「やんのかテメェ!!!」
レイチェルもポケットに忍ばせたナイフを数本手に取る。ナイフは刺すものであれど投げて刺すものではありません。

お互いに戦闘態勢に突入している。これはやばい。城を回る時間がなくなる以前にこんな所で戦闘を繰り広げられたら絶対巻き添えを喰らう!向こうがどっか行けばいいのに!こっちが逃げたとしても案内人があれではどこをどう行けばいいかわからない。

もう簡単に止めに入れないぐらい収拾のつかない事態に他人のふりを決めかけていたアリスも時間がこのまま無駄に過ぎていくことに段々我慢の限界に達してきた。

口端は上がってる。怒りのあまり引き攣っているだけだ。拳を固く握り、痺れを切らしたアリスは空間中に響き渡るような大声で叫んだ。



「……いい加減にしなさいッ!!!!!!!」

その場にいた全員がアリスの方を振り向き、醜い争いに終止符は打たれた。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -