淘汰の国のアリス | ナノ

そこでピーターは振り向く。アリスも思わずたじろいでひまうぐらい、勝ち誇った顔だった。身長の差のせいで見上げるはめになるがきっと心の中では見下している。
「ああそうか、脳に行くはずの養分が全部身長に行ったわけか。どうりでバカでかいはずだな。」
「だからバカじゃねえ!!逆にお前の身長に行くはずの養分はどこに行ったんだよ!!」
あくまで冷静を装うピーターに対しレイチェルは血の気が上がっていた。というかもう、ただの喧嘩だ。アリスの入る隙はない。シフォンとフランネルは止めようという雰囲気すらない。

「ぐ…っ、ちゃんと脳にはいき届いてる!管理においても何においてもこなせている…!」
ピーターは一瞬言葉に詰まった。それをいい事に反論にかかる。
「ほおー?動物としての野生のかけらもない、言われた命令だけに従う女王の犬に成り下がっちまったかー?」
「兎ですけど!?貴様だってそこにいる帽子屋にこき使われているようにしか見えないがな!」
「…ち、違うぞ…!」
「人聞きの悪い」
お互い冷静さを失い激しい言い争いになり、今度はレイチェルが痛い所を突かれてしまう。さりげなくシフォンが(余計な事は言うなと脅しも込めて)呟いた。
「…ああ言ったらこう言いやがって…」
もう言い返せなくなった哀れなバカは拳を握り震えた。そして
「…ちょっと偉いからって調子乗んじゃねーぞ!虎の威を借りる兎が!!」
「狐だ!この万年発情期が!」
「…うっ、そ…それを言うな!お前なんか一生童貞だ!クソ野郎!!」
「アリスの前でなんと下品な…ッ!!この絶倫野郎…!」
せっかく彼なりに難しい言葉を正しく使ったのに。同じ間違いを繰り返さないように改変したのが間違いだ。多分改変しなくてもそれはそれで「兎だ!」と返されそうだが。にしたってピーターもそろそろトドメを刺しにきている。アリスには童貞の意味も絶倫の意味もわからずそれを理解しているシフォンは深いため息を、フランネルは寝息を立てていた。





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