淘汰の国のアリス | ナノ


「汚れるから触れるなッ!!」
そう言うとピーターはアリスの手を払いのけた。

「……………えっ?」
何が起こったか把握できずにアリスは振り払われた右手を左手で覆う。
「……兎さん?」
やはり話しかけたのがいけなかったのか。いや、どちらかと言えば自分に触れた事に対しての拒絶反応にも見える。自覚はないが、それが逆に自らを不安に追い込んでしまう。普段ならこの程度の理不尽なら強気で言い返せた。

ピーターはそれはもう何かに怯えてるような目でこちらを見るものだから。

「あう…違っ、違うんだ…その…君がじゃなくて…僕に触ると…えっと…」
空いている手を力無く振りながら震えた声で何やら誤解をとこうとしているが支離滅裂で余計にわからない。

「……まあいいや。忘れてくれ」

ついには説明を諦め、再び背を向けた。

「待てよ。」
突如、後ろからレイチェルが呼び止めた。
「…ほう、今回はいるのだな。さっきから目にゴミが入って痛いと思ったら視界に貴様がいたからか。」
ピーターは振り向かず後ろにいる特定の人物に言葉を投げる。なんだろう、態度が一変したように思う。

「さっきのはどう考えても客への態度じゃねーだろ。謝りもしねーのか?」
レイチェルの言う事はごもっともで1番説得力がある。お客さんへの対応ではおそらくこっちの方が慣れているだろう。…にしてもここはスルーしておいた方がかえって良いのではとアリスは考えた。良く言えばしっかり者、悪く言えば空気が読めない、といったところだ。

「ふん、こっちは貴様のように単純に生きてないから色々あるんだよ。」
「誰がバカだあ!!?」
誰もバカとまでとは言ってない。単純に生きている=バカと位置付けるあたりはすっかり自覚しているのは感心する。





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