淘汰の国のアリス | ナノ


「クビだけに首だけになるぐらいこたえるってな、あっはははは…」
明らかに何か隠しているようにも見える苦し紛れな態度もクビと首をかけたジョークのせいで深追いする気が失せてしまった。

「…あー、んで誰が案内してくれるんだっけ」
さりげなく話題を逸らすようにシフォンに尋ねた。
「聞いてなかったのかい?」
「おう!」
場の雰囲気を取り戻したいわけでも話を逸らしたいわけでもないらしい。一体何を考えていたのだろうか。

「まあもうじき来るさ。」
「ふーん…真面目な奴はやだなー。」
「こんな場所にお前のようなひょうきんな奴を求めるな。」
いつもながらシフォンのこの辛辣窮まりないツッコミは何だろう。この二人にはちょっとした上下関係的なものでもあるのかと伺える。フランネルは立ったまま器用に寝ている。こっちからツッコミたいことは色々ありすぎてなんだこいつは。

「…ピーターって聞いたけど…」
フランネルの方から聞こえてきたので、実はちゃっかり起きていたのだ。本当になんだこいつは。
「あいつか。なるほど」
「なんてえ!?」
確かに寝言のようなか細い声だったがアリスやシフォンの人間の耳に入っておきながらその倍の長さの耳を持っているレイチェルにはなぜ聞こえない。
「〜〜〜ッ、お前は…この長い耳を持ってしてなぜ聞こえない!!ぁあ!?何だ、お前の耳の穴は節穴なのか!!?」
「んあ…っ、ちょ、いてえっいだだだだだ!!」
首だけのアレを邪魔された分も込めて痺れを切らしたシフォンは(背伸びして)レイチェルの役に立たない野兎独特の茶色く長い耳を、強く握った。やはり弱点で苦痛に歪んだ顔で悲鳴を上げている。

瞼をうっすら開けたフランネルが「…最初変な声出なかった?」と呟いたのにはすかさず「うるせえ!」と反論した。勿論、アリスには意味がわからない。





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