淘汰の国のアリス | ナノ

「…ねえ、誰か来たわよ?」
シフォンのブラウスの袖を引っ張る。それに皆が気づきアリスの指差した方向に振り向いた。トランプのカードの模様をあしらった服を着こなしている。クローバーの7と5。腰に剣を提げ手には槍と盾を持っており、頭にも軍帽をかぶっていることからこの城の門番だと察した。

「む?…おい、7番!」
「は、はいいっ!!」
目が合うと二人の兵士は急に態度を改め背筋を伸ばして敬礼をした(レイチェルがなぜかつられて一人だけ敬礼した)。

「貴様ら何用だッ!!」
「ようこそハートの城へッ!! 」

槍を向ける5番と敬礼を続けたままの7番。どちらも客を迎える態度は真剣なのだが緊張かはたまた勘違いか、全く噛み合っていなかった。当然、もみ合いになるわけで。

「7番、なにがようこそだ!不審者かもしれないんだぞ!?」
「ひいぃすいません!だって女王が常にもてなす気持ちでって…」
「それは不審者じゃないことを確かめてからだ!!」

頭を下げてばかりの7番の方は新人のように見える。

「あのー…私達怪しい者ではないんですが…」
アリスがそっと手を挙げた。
「…実は…女王様を倒すことしか…考えてないんだけど…」
「こらっ!」
「ふぁはりほへひなほほひゃへるんひゃふぁい」
後ろではフランネルが余計なことを呟くのをレイチェルが小声で叱って、シフォンはどこから取り出したのかサンドイッチを頬張っている。この状況で唯一まともなアリスはなんとなく不安になった。

「…いかにも怪しい!」
ごもっともである。
だがここは認めてもらわなくては先に進めない。
試しに自分の名前を言ってみた。

「私…私はアリスといいましてー、ハートの城という場所をうわさに、うわっ!?」
ハートの城の名前を出す前に5番がぐっと近寄りアリスの両手をがっしり掴んだ。
「貴方はアリスですか!いやはや飛んだご無礼を!そうとわかれば…7番!早く門を開けろ!」
「はい!かしこまりました!」

指図された7番が急いで門を押し開けた。ゴゥンと重い音とともにゆっくりと門が開いた。





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