淘汰の国のアリス | ナノ




「………ほわああぁ〜!!」
「すげええぇ!!」
「お前は何度も見ただろう…」

呆れるシフォンの傍らでアリスとレイチェルはある物を見上げながら感嘆の声を上げている。フランネルはレイチェルにおぶって貰って背中にぴったりくっついて爆睡していた。

「ここがハートの城…国の1番偉い人のいる場所…」
「すげえええ…」
「すごいとしか言ってないじゃないか…」

でも実際、凄いとしか言えないのかもしれない。アリス達は一休みをしてから道なりに進みハートの女王の住むと言われるハートの城にたどり着いた。

だがさすが城というだけはある。アリスというか人間の三倍以上もある圧倒的な存在感を放つ頑丈な城門。しかも二重になっている。
その向こう、僅かな隙間から見えるのは遥かに広い芝生に囲まれた庭で城へ続く道を真っ赤なバラのアーチが何個も何個も何個も囲んでいる。それ以上の情報は把握出来ない。

「しかし参ったな…」
シフォンが難しい顔をする。
「…いつもなら門番が立っているはずなんだが…」
見渡してみても自分達以外の人の気配は全くない。レイチェルもその光景に違和感を感じていた。

「入らせてくれるとか以前に…警備としてどうなんだ?」
「この門ならば大丈夫だろう。しかし話が出来る者がいないのは厳しいな…」
二人で勝手に話を進めるがアリスはまず会話に入るほど現状についていけなかったのだ。

「待つか?」
「…ああ、そうだな。しばらく様子を見よう。」
そう結論に至ったならば仕方なくそれに従うしかなかった。

「いやぁ…もうなんでもいけるもんだな!」
「俺もアリだわー。」

「ん?」
すると右の方から二人の男性の話し声が近づいてきた。





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