「…なんだ!!?」
後ろには、隙間がわずか手首しか通らないだろう頑丈な鉄格子が階段と牢とを遮断していた。
「おい!誰だこんなことをしたのは!!僕だ!ピーターだ!!早くこいつを開けろ!!」
よほどの重罪人でしか使うことがない牢だから並の力ではびくとも動かない。しかもこの鉄格子は、触る度に体力を奪う効果があるのをうっかり忘れていた。
「………うッ…しまった…。誰かが気づいて助けに来るまで待つかな。」
壁にもたれてその場に腰を下ろした。
「誰かが助けに来てくれるといいけどなぁ。ピーター様々よ、なあ。」
「………!!?」
油断していた。ピーターのいた牢にはいくらかの箱があった。その中から出てきたのはトランプのカードを模した服を着た数人の兵士だった。
「さすが重臣よ。女王の命令だと言われればしっかりと従いやがる。俺らを伝ってでもなあ?」
兵士達はピーターを取り囲み嘲り笑う。勿論それで怖がるような事はない。
「何を考えてるか知らないが貴様等…こんな事してただで済むと思うなよ!!」
「そいつは結構…もう俺らに希望なんてない!」
一人がそう言った瞬間、ピーターは身体全身に強い衝撃を受けた。
「かは…っ、こ、これは…」
身体に走る痺れに悶え苦痛に顔を歪ませてうずくまる
「俺、なり損ないから度々珍しいものを拾うんだよねえ。名前は忘れたけど電撃が走るんだぜ。」
その傍らで一人が黙々と死刑囚を拘束するための手錠を手と足にはめる。
「……あゔっ、なんでこんなっ…」
「なんでって?ハハッ…まあ俺らもこんないつ切られてもいい身分だから色々たまってんだわ。」
一人がしゃがみ込みナイフをちらつかせる。それを目の当たりにしてもピーターは抵抗する力もない。
「女入れてつったら女王キレるだろうし。もうこうなれば何でもありでさ」
「…つーことで、まあ。酷い様にはしねーから。」
そのナイフは容赦なく堅く着こなした服を裂いた。
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