「おいフラン!お前そんな歩いてないだろ!?」
「「……ん?」」
わきの森からこれまた聞き慣れた拍子抜けした声がして二人は思わず声を揃えた。すると突然、茂みからえんび服を着た男が道の真ん中へ向かって転がってきた。
「ひゃああ!?」
アリスは驚いて声をあげる。シフォンはというと
ひどく冷めた目で眺めていた。
転がって倒れた人物は勢いよく身体を起こす。なんとシフォンとは同じお茶会にいたレイチェルだったのだ。
「…眠い…歩きたくない…」
その後をふらふらとレイチェルついてくる。歩いたまま寝そうな雰囲気だ。
明らかに対称的な二人がどこからともなく現れ呆然としているアリスに変わってシフォンは冷たい声で尋ねた。完璧に呆れている。
「…なぜここにいる。どうやって来た?」
「何をって…お前そりゃあ決まってんだろ…」
レイチェルは服についた土埃を払う。機嫌を損ねた子供のように拗ねている。
「全くお前も青臭いよな!一人で勝手に行きやがってよ。俺はな、アリスもだけどそんなお前も心配なんだって!」
「……水臭いだけど……」
レイチェルの安定の馬鹿とフランネルのさりげないツッコミのせいでせっかくの気遣いもコントにしか聞こえない。だが馬鹿は気にしないから馬鹿なのだ。
「フィリピンていう奴の手当をしたらすぐ回復してさ、さすが不死鳥だよな!迷子になる自信しかねーからここまで乗せてもらったんだぜ!二人!なあ?」
「………寝心地…最高…」
いきなり国の名前を言い放ったがすぐにフィッソンの名前を間違えたのだとわかった。不死鳥という伝説上の生き物もこの国ではまともに名前すら覚えられず挙げ句の果てにはいいように利用させられてしまうのだ。価値観も変わってしまいそう。
「そいつは?」
「途中で宿屋見つけたから置いてきた!」
「宿屋なんかあるの?」
アリスは半信半疑で聞いた。自信たっぷりに頷くレイチェル。それで確信を得たシフォンは皆に一つ提案をした。
「そうなら、どうだいみんな。打倒女王に向けて体を休ませておこうよ。」
「お、いいね。賛成!」
「……大賛成……」
二人は元々そのつもりだったように意見に乗っかった。
「待って!」
ただ一人、アリスは疑問を述べた。
→