「……………うあ…」
雨音が地面や木々をたたき付ける音だけが空間を支配する。地面を濡らしてゆく。
「あ、あぁ…いやあああああぁ…!!」
アリスは膝から崩れ落ち、誰もいなくなったその場で感情の線が切れたように、泣いた。涙も雨も一緒に頬に伝うものだからわからない。服に含む水分のせいなのか、一人で立ち上がる気力すらなかった。
もうどうにでもなればいい。
私はアリスと認めてもらわなきゃ。
でも、もしなれなかったら?
なれなかったら?
こうなって、ゴミのように捨てられて、私の事なんかなかった事になるの?
次々と涙が零れてくる。一度歯止めがきかなくなればもう止まらない。
「い゙やだぁ…っ、死にたくないっ、嫌だ…死にたくないよぉ…ひっぐ……うえぇ〜…。」
ずっとこらえていた物が一気に溢れる。アリスは今、自分の行く先に待ち構える末路をこんな残酷な形で目の当たりにしたのだから。
「…なんで…っ、私…いやだあぁ、あ゙あ゙ぁぁ…うっ…うわあああぁぁッ!」
だが、そんな支えてくれるアリスはこの森にはいない。ここに朽ち果てた皆もそうだったのだろう。
諦めきれなかった。
諦めなかったら死ぬ可能性。
ただその恐怖心だけが、アリスから全てを奪うようだ。
「アリス!!」
先程から自分を呼ぶ声。だがもう、それさえもきっと疲れきった自分が心の救いを求める故に聞こえた幻聴なのだと空をぼーっと仰いでいた。
「しっかりしろ!!」
とうとうその声は自分のすぐ後ろまで足音とともに近づいてきた。もう振り返る元気がない。その声の主は、アリスの正気を戻すように肩を掴んで振り向かせた。
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